断腸の思い
腸(内臓)が千切れるほどの悲しさや辛さを味わう事。
中国、東晋の武将「桓温」 が戦で川を船で渡った時、
子を捕らえられた母猿は、岸沿いに哀しげに叫びながら、百里以上もついてきて、ついには船に飛び乗ったが、途端に息絶えて死んでしまった。その母猿の腹を割いて見ると、腸(はらわた)が細々にちぎれていたという。
今まで生きてきて、辛い事、悲しい事色々と経験してきたが、幸いな事に「断腸」と言うほどの狂おしい程の辛さを味わった事はないと思う。どれほど、苦しくても、哀しくても乗り越えられるギリギリなラインだった。
しかし、自分の中で、この「断腸の思い」を味あわせる事があるとすれば・・それは「家族の死」だと思う。特に2人の子供に何かがあれば、多分、自分は壊れてしまって、立っている事さえ出来はしない。
そして、別の意味で立っている事さえ出来ない程に自分を打ちのめす事があるとすれば「母の死」だと思う。小さい頃から面倒ばかりをかけてきた。自分で自分を大嫌いだった頃も母は常に自分を支えてくれた。大学くらいの頃は
「何故この人は母子と言うだけで、これ程に自分を愛してくれるのだろう?」と真剣に悩んだ程だった。同時に怖かった。腕力ではない。その覚悟が怖かった。
「俺が本当にどうしようもなくて、いよいよ・・っとなったら、多分、この人は俺を殺して自分も死ぬ覚悟があるだろう」
「俺の為に本気で命を張る覚悟があるだろう」
っと解っていたから。
もし今、母と別離する事があるとすれば・・自分は後悔だらけで悔しくて、心底打ちのめされる。
「もっと報いたかった」
「もっと孝行したかった」
「もっと喜ばせてあげたかった」
でも、自分が親になった今、判った事もある。
きっと、そうやって打ちのめされている子を見たら親はこう思う。
「充分報いて、孝行して、喜ばせてくれたよ。お前が俺の子供に生まれてくれて良かった。」
「V・VAREN長崎」 現・事業部長
岩本文昭前監督の父、岩本徐様のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
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